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日志


5月22日

作法と自由

 
 
かなり久々にカテゴリが午後茶。
 
先日ご紹介した麻子・スチュワードさんの著書、
 
「ロンドン、 とっておきのティープレイスへ」
 
画像が発表されていました。
 
 
 
   河出書房新社の発行です。
 
   ガイド的な役割としても最高なので、
 
   ロンドンにお越しの際には、
 
   「英国特集」同様、手にして行かれると便利です。
 
   この本の画像を撮影をされたのは、 
   
   英国在住のYAYOIさんという芸術写真家です。
 
YAYOIさんの写真はけっこう迫力があります。
 
YAYOIさんに興味のある方は、こちらをクリックして見てください。
 
 
 
麻子さんとお茶の話をするときに、
 
ときどき話題になるのが、
 
アフタヌーン・ティの作法の話。
 
ご存知の方も多いので、その歴史ウンチクを抜きに話すと、
 
お茶の淹れ方には数々あれど、
 
作法なんてものはないんです。
 
貴族趣味、貴族生活への憧憬から発展したのは19世紀ですから、
 
400年以上の歴史を持つ日本の茶の湯とは違って、
 
精神的、文化的な背景はほとんどないと言えるでしょう。
 
文化的背景があっても、和文化の茶の道とは深みが違うでしょうし、
 
午後茶とは、むしろ、リラクゼーションと社交の場であって、
 
少々乱暴な表現をすれば、
 
ゴシップをする井戸端で、タクアンを齧りながら茶を啜る
 
と言うのと同じです。
 
 
詳しいことは、カテゴリのアフタヌーン・ティをご覧下さい。
 
リンクの関係上、記事にいくつか不備が見られますが、
 
それはmsnの倫理規定に抵触した?とされたために、
 
すべてのリンクを外したことに拠るものですので、悪しからず。
 
まあ、必要とあらば、その名前で検索して下され。
 
 
こんなことを言えるのも、拙もさんざっぱら経験しているからです。
 
在京中でも、英国公使や大使宅で時々午後茶を啜っていましたが、
 
いつもマグカップだったな、と。
 
在英30年でも、このアフタヌーン・ティを経験したことのない邦人はおろか、
 
生涯経験しない英人もたくさんいます。
 
ですから、何かの記念日に午後茶のクーポンでもプレゼントすれば、大変に喜ばれます。
 
まあ、一度は味わってみたい優雅な午後茶ってところでしょうかね。
 
行かれたら、一部のタカビーな午後茶処を除いて、ドレスコードもほとんど無く、
 
「ああ、ここはリラックスして自由に茶を啜るところなんだなあ」
 
と実感されると思います。
 
マドンナが子連れでハイティに来た話は前述したかもしれませんね。
 
マドンナと言っても土○たか子さんではありません。
 
                                      「ど○たかこ」で変換すると、「退いた過去」・・・なんか意味深。
 
「ごめなさい」と歌うマドンナです。
 
それほどゆったり出来るところ、ということです。
 
 
 
拙のこの意見と、麻子さんとYAYOIさんの本とを読み比べて、
 
どうぞロンドンの午後茶を自由にお楽しみください。
 
 
 
 
 
切干大根を味わいながら、「葉山茶」を啜ります。Zz...
 
 
 


 
 
 
 
10月20日

後ほど、ラウンジで

 
過去、いろいろな午後茶(カテゴリのアフタヌーン・ティを参照)を紹介させて頂きましたが、
 
最近は毎週、ティを楽しんでいます。
 
毎土曜日、息子のラグビーの試合が終わると、
 
学校のカンティーンでは子供たちがソーセージとチップス(フライド・ポテト)の昼食を頂き、
 
親たちは敵も味方もラウンジでティを頂きます。
 
対外校にも既知がいるもので、
 
息子の前の学校の同級生たちの親御さんたちに会えますし、
 
毎週、常連の同級生たちの親御さんにも会えます。
 
毎回、総勢で100名ほどになるでしょうか。
 
人種はホトンドが白人。
 
拙は自分が東洋人であることを忘れそうになります。
 
いや、忘れています。
 
トイレなどで気づくんですよね。
 
鏡にやたら、アジアっぽい顔がいるなあ、と思うと自分なんです。
 
 
話戻って、
 
ラウンジでは軽食も出ます。
 
サンドッチなんですが、ロースト・ビーフやスモークサーモンなど10種類以上が出て来て、なかなかの上質です。
 
毎週、こんなオーガナイズをすると費用も掛かるだろうと思って、ある父兄に聞いてみると、学校の会計報告の内訳の中にこのティが入っているとのこと。
 
ティ自体がFund Raisingの目的で開催されているし、父兄からの援助金も入っているので、このティを含めたラグビーのセッションそのものが黒字なわけです。
 
粋な計らいもこうした工夫で維持されているんだなあ、と感心しました。
 
 
でも、事情を知っている娘に聞いたところでは、サンドッチの中身は彼らの給食の「残り物」だそうです。
 
こいつら、こんなにいいもの食ってんだ。
 
アボカドとスモークサーモンのサンドが濃厚で、腹に応えます。
 
 
 
 
今年の試合は殆どホームで行われるので、こうして毎週ティを楽しめるわけですが、アウェイの時はどうなのか気になります。
 
プライベート校だったら、こういう計らいも期待できるでしょうが、公立の場合はどうかなぁ。
 
商売っ気ないからねえ。
 
アウェイの際には報告します。
 
 
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7月25日

おいひい紅茶の・・・

 
 
さんざっぱら午後茶の話を書いたこともありましたが、今日は過去の記事を全部覆すような話。
 
おいしい紅茶ではなく、なぜ「おいひい」紅茶なのか?
 
熱いときに「おいしい」とは言えないからです。
 
だから、「うまひ」でも良いと思います。
 
で、実際にうまひ紅茶の淹れ方は、以下のとおりです。
 
マグカップに、紅茶のティーバッグを2つ入れる。
 
銘柄は知ったこっちゃない。
 
熱湯を注ぐ。
 
スプーンで押しつぶすように軽く掻き回す。
 
ティーバッグを捨てる。
 
茶を啜る。
 
「う、うまひ。おいひい」
 
こんだけです。
 
ほんとに、これだけ。
 
これだと冷めてもけっこう旨い。
 
拙はペパーミント茶でたまに同じことをします。
 
ティーバッグ2つなんて、贅沢だろうが・・・!
 
 
 
 
てなわけで、カップ&ソーサーのティセットが嫌いな牧歌でした。
 
ありゃ、飲んだ気がしない。
 
英人宅に招かれて、あんなもん飲んだのは人生で一度だけで、しかも拙が日本人だから好みに合わせてくれた、とのこと。
 
 
じゃあ、お茶菓子にタクアン出してくれよ。
 
 
とは、もちろん言えない。
 
 
でも、ロンドンの有名午後茶処では必ずカップ&ソーサーですな。他にチョイスもないしね。
 
 
クロテッド・クリームを小匙で山盛り2杯以上食べられるヒトを尊敬します。アナタはアングロ・サクソン並の胃の持ち主です。
 
実は、昨日、仕事で訪問した先で、マグカップでお茶を出された時に、お茶の飲み方の話になったんです。旨いお茶の飲み方ってのは簡単でなくちゃならない。だから、ティ・バッグが市民権を取って久しいわけです。
 
 
そう言えば、
 
 
駐日英国大使館の公使公邸や大使公邸に招かれた時はいつもマグカップでした。そこでも、↑のようなバッグ2個入りの飲み方をしていました。まあ、そういうザックバランな仲だったのかな。
 
 
あそこは英国か日本か?
 
悩むまでもない。
 
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3月21日

これでもか午後茶

 

左からCosta RicaCaraibeGaranche, というお菓子です。ひとつ£2から£4ですから、特別な機会と思えば食べる気になりますよね。この3つはシェフのお薦めです。食べる順番はGaranche, Costa RicaCaraibeにした方が味が良く判ります。

 

拙はGarancheの繊細な味が好きでした。 

 

 

でも、Caraibeも凄かった。あの5層の食感。うう、たまらん。

 

 

カップに入った2つのケーキは底まで掘り下げて三つの味を口の中に押し込むことが醍醐味以上。そりゃそうだって。醍醐だけ啜って旨いと言ってたのは平安時代?

 

 

全然、脂っぽくないんよ。後味も悪くないし。というか、最高。焼鳥派の拙にここまで言わしめるものとは?

 

シェフのPierre Gagnaireはお客さんの健康までよく考えています。お菓子を楽しんで健康や体重に不安を感じるのは馬鹿げていると。

 

 

それでも、こんなにおいしいもの作れるんだねえ。

 

 

 

申し遅れました。これらのお菓子を出すお店はロンドン、Conduit streetのSketchの中にあるThe Parlourというお店です。ウェブが面白いのでBB環境の方にはクリックをお薦めします。他のレビューを見ると以下のものもお薦めのようです。

 

Tonka

 

 

内装も工夫があって面白いですよね。Sketchは毎年デザイン賞や紅茶賞などを受けとる三ツ星レストランでもあります。メイン・シェフのピエル・ガニエルにも会って来ました。話し出したら止まらない料理哲学の中には、日本文化への傾倒も大きく、文化の気質を職員たちの働きぶりに見出すそうです。日本人として嬉しいですねえ。

 

 

レセプションもこんな感じ。デザイナーの名前も判っていますが、興味ある人はコメント下さい。

 

 

 

午後茶は女性の世界なんですが、それを象っているシェフ、ラウンジマネージャ、デザイナの殆どが男性でした。でも、少しずつ変わって来ているような気がします。もちろん、これまでにも男性の苦手な部分を補っている女性のスタッフも権威ある位置にいます。

 

Sketchはロンドンの超一流ホテルのメイン・シェフが絶賛する午後茶処です。でも、三段のケーキスタンドは出てきません。注文形式は日本の喫茶店みたいな感じですが、全体のコンセプトが他の追随を許さないので午後茶処として外せないところでしょう。是非、行ってみて試して下さい。

 

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3月11日

もういっちょ午後茶

 

この写真は普通撮れません。

歪んだケーキスタンドに伝統を感じる?

 

 

何で取れたかって?  まあ、仲良しのDirectorが居るからかな。あるセクションのダイレクターですが、以前はパリのフォー・シーズンズに居たヒトで、この業界の重鎮です。ホテル業界の出世の仕方って、ある種独特です。どんな叩き上げのヒトでも、最初はそのセクションの下っ端から始めて、その仕事の経験を元に他のホテルで、少し上のポジションに転職するんです。ですから、ずーっと同じ職種を続けるのが普通です。

 

 

もちろん、転職種に成功するヒトもいますが、それは個人の裁量であったり、ヒューマンリレイションやコンタクトであったり、ロビーイング能力であったり、と様々です。概して動き易いのが、PR、セールス、マーケティングの3つの中で転職種が可能でしょうか。小さい会社だと全部一緒にやらされることがあります。日本では大会社でも、ロンドンに来ればアジアの一企業ですから、駐在員たちもこの国では中小企業戦略をやらされているなんてのも結構普通です。

 

パーム・コートと申します。

 

ホテルの例で言えば、3星のホテルである職務の経験を積んだヒトが、たまたま募集のあった5つ星ホテルのアシスタント・マネージャに就任して、ある程度出世すると、更に上の5つ星ホテルを目指すんです。やはり就職の最高位はRITZなんでしょうなあ。値段も張りますし。たまにジョブ・ステイタスが下がることを妥協して転職するヒトもいますが、そういう場合でも割と短期間に昇格しています。

裸で午後茶を頂いてはなりませぬ。

 

くどいようですが、最高峰のホテルですから、目指すヒトはそうやって辿りついたんでしょう。その好例がRITZのペイストリー・シェフ、ジェロームです。彼についてはそのうち紹介しましょう。でも、凄すぎて皆さんご存知かもね。

 

午後茶のことを調べていて、判ったことのひとつは、つくづく女性の社会だなあ、ということ。ケーキやペイストリ見ても拙は全然ワクワクしないです。リッツの午後茶は2時間制で£34.-

 

これはハロッズの裏手にあるBasil Streetという三ツ星ホテルの午後茶。

 

あの辺に有名な午後茶処はたくさんあるけど、ここは英国に来て良かったと、思わせる場所。午後茶は£14.-。ここは静かで、落ち着いているのでお奨め。○ーヴィー・ニ◎ラスの5階に行くのなら、こちらの方が見所もあります。1910年築のエドワーディアン・ワールドをご賞味あれ。

 

まだ写真に頼っています。明日は更新できるかな。ちょっと出掛けなくちゃならないんで、難しいですが、応援クリックお願いします。http://blog.with2.net/link.php/29834

 

 

3月8日

Belgraviaの午後茶

 

グッチのドレスデザイン。足首から上(下?)のハイヒール部分が切れてしまった。左のカップの上に脚のカタチがあるのが判ります?

 

ちょっと急いで撮ったので、あまりいい出来ではないですが、ロンドンにはこんなのがあります。

ケーキ・スタンド一人前。

 

茶器などもお見せすれば、もっといい感じなんでしょうが、ポール・スミスの茶器をイメージしてください。先日は供給会社のURLをリンク先にして警告を受けましたので。

セイボリー(甘くないおつまみ、普通はサンドイッチだけ)

この午後茶はメニューにPret-a-Portea(プレタ・ポルティ)として、ロンドン・ファッション・ウィークを見たシェフが作ったものです。2004年の4月から始まって、予約が殺到しています。マドンナなどのセレブも子連れで現れるそうです。

 

場所はThe Berkeley Hotel。詳しくはここをクリックしてみてください。これはMSNの商業規定に違反しないと思いますが、ここから検索出来なくても、ホテル名検索すれば、誰でもアクセス出来ますね。

 

すげー甘ったるいんですが、大人気。それにしても撮影位置悪いなあ。

 

午後茶って、英国では年寄り臭く扱われていましたが、最近は40代から20代前半へと愛好家が増えつつあります。これはあるマーケティング・レポートでスタバ効果とされています。つまり、飲茶の習慣のなかった若い世相にお茶やコーヒーを飲む場所をスタバが提供したことから始まって、そのスタバにはない憩いと贅を求めて、誕生日などにこういった午後茶を楽しむようになった、とのことです。スタバはロンドンの街の古いカフェを駆逐してしまいましたが、午後茶のマーケットはスタバとは違うところにあります。

 

手前の左がアヴォカド&フルーツ、右は松の実とママレードなにやら味、奥手の左はSHIBUYAというスフレっぽいフルーツケーキ(崩れかかっています)、右は見たとおりのチョコケーキ。

 

これは、Yauatchaという飲茶レストランのお持ち帰り菓子。フランス人のシェフが和中華の食材をふんだんに、且つ上手に使いこなしています。この店URLがないんで、店名をクリックすると、ロンドンガイドの紹介サイトが出ます。  当日は日系航空社のクルーたちが5,6名で来ていました。  聞いてみると、これでもう10回来ているとか。 この店、開店してまだ一年経ってないのに、月一なんて地元でもなかなか。それを聞いて、いいなあ、と思う人はスッチーを目指して下さい。 拙には仕事の激しさが伝わってきます。

 

 

 

午後茶めぐりってのは、一日に2軒に留めたほうが良いかと。結構ボリュームあるし、大食漢の拙でも一人分食べちゃうと、夕飯は要らなくなります。二人でケーキスタンドひとつを注文してみましょう。てなことで、応援クリックお願いします。http://blog.with2.net/link.php/29834

 

 

1月17日

午後茶あれこれ

午後茶の最終回です。
 
 
 
茶器の種類、食器の種類、茶の種類、飲み方、淹れ方、ティー・フーズ(スコーン、クロッテッド・クリーム、レモンカード、サンドイッチ、タルト類など)、音楽、内装、サービス、・・・午後茶にはこれだけの楽しむべき要素があります。それぞれの分野には権威がいて、本になったり博物学に関係するものもあります。
 
 
茶器、食器については、老舗の陶器専門店が近年午後茶自体のサービスを止めてしまいましたが、店舗は同じところで、茶器の販売をしています。ここでは古くて趣味の悪いものから、信じられないような豪奢なデザインのものも売られています。午後茶文化は配慮ある女性の文化だなあ、と思います。それだけに我々男性も居心地の良さを覚えるんです。デザインが美しく、機能的なところはもちろん、お茶入れ箱や缶のようなものにまで、職人の息が掛かった細工が施されました。英国で紅茶が普及した最大の原因はオランダから輿入れした王妃メアリの持参品だと言われています。アジアの彫金細工や工芸品に詰められたいい香りのする葉っぱに宮廷の人々が興味を抱いたことは想像に難くないでしょう。
 
 
茶の種類については、各ホテルやいくつかのレストランではお茶の持ち帰り販売をしています。また、お茶やコーヒー豆の販売を専門にする店がソーホーに数店あります。ここではいろいろな午後茶処に卸をしています。
 
 
飲み方、淹れ方などについては、非営利団体のTea Councilが紹介しています。熱いお湯を使うことなど基本的な指導がなされています。ここに記載しても良いですが、日本語でもそういうサイトはたくさんありますね。
 
 
ティ・フーズについては、これもジャンルごとにペイストリー・シェフ(パティシエ)が居て、ホテルや有名な茶処では、自分の作るものが最高であるという自負心を持っています。一つ一つがとても小さなタルト類ですから、作るのはかなり難しく、安定した品質を供給するのは至難の業であるだけに、彼らのプライドも相当なものです。しかし、こういうところでもお客さんに飽きられると、商品生命が終了し、シェフも淘汰されてしまうのです。
 
 
 
内装については、それぞれの場所ついて述べると、建築画報になってしまうほど、内容の深いものになってしまいます。午後茶の成り立ちが大英帝国の最盛期と言われたVictorian時代ですから、新興貴族社会には世界中の富が集中していました。そして、貴婦人たちは没落する旧貴族と振興のブルジョワたちとの間で凌ぎを削って贅を尽くしたのです。言い換えれば、見栄の張り合いですな。現在のホテルのラウンジが豪奢であるのはその時代の名残であるともいえます。
 
 
サービスについても、内装と同じことが言えます。優秀なサーバントや高級シェフの引き抜きは19世紀後半から日常茶飯事で、彼らの賃金を上げることにもなってしまいました。こうした要因がサーバント産業を衰退させました。つまり、人件費の高騰を招く一方で、没落しつつある貴族や節約したい中産階級の経費を圧迫するものを排除する方向に時代が動いたのです。さらに、産業革命と様々な自動化が召使という職業を衰退させたのです。蒸気機関が発達して、交通や食料の流通がスムーズになり、メイフェアの屋敷裏に常設されていた馬番や鷹番が不要になったのもそういうことです。
 
 
最後のサーバントと言われ、40年間ロンドンの5星ホテルに奉職したマイケル・トゥニーは茶室パームズ・コートのMaster of Ceremoniesというタイトルを与えられました。彼は10年ほど前に亡くなりました。しかし、そのホテルのサービスには彼の魂が息づいていると言われます。
 
 
それから、ティ・バッグについて一言。まず、ティ・バッグとオーソドックスと呼ばれる茶葉をじっくり淹れるルース・ティの違いですが、これは作る目的が違うので、お茶といえども同質のものと考えること自体が不可能です。ティ・バッグは英国のどの家にもありますが、ルース・ティを淹れてくれるところは午後茶の茶処くらいのものでしょう。ティ・バッグの製法はCTCと呼ばれ、Crush Tear Curl つまり、押しつぶし、引きちぎり、(乾燥させて)クリンクリンにして、茶葉の断面を大きくすることで、お茶エキスの抽出時間を短縮するものです。利き茶をするティ・テイスターにはCTCとオーソドックスの味の違いは明確だそうですが、その違いが判ったところで、そんな微妙な違いを誰が有難がるのか不思議です。茶葉が開くのをゆっくり待つ時間があれば、オーソドックスでも構わない。また、そういう微妙な違いを楽しみたい人には、もはや時代の速度にオーソドックスではないルース・ティは良い味を出してくれるのかもしれません。
 
 
 
 
たかが午後茶ではありましたが、ここ数日、午後茶の知られざる部分を駆け足で述べて参りました。読んで頂いて有難うございます。
 
 
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1月16日

午後茶のニュー・ウエーブ

伝統とは高品質そのものです

 

これまではそういうことを伝えたかったんですが、今回は、伝統と格式が嫌いとか、もう飽きちゃった人たちのための情報です。

 

Sotheby's ・・・あのオークションで有名なササビーズの中にあります。朝は9時半からですが、時間によってメニューが少し変わります。ラストオーダーは4時半だったかなあ。メニューのSotheby's Small Teaはトーストされたケーキとスコーンというのが少し変わっています。もうちょっと食べたかったら、チーズとクラッカーのセットやスモークサーモンのセットもあります。謎の料理Welsh rarebit(ウエールズのウサギ、ハイパー・リンクしてあります)もあり。

 

Quaglino's・・コンランの典型的な店だなあ。と思っても、一応ドアを開けて中までずずっと入っておくんなさい。二階の吹き抜けの上にあるバーから見下ろす階下のテーブルの群れは壮観。茶の種類は多くないが少数精鋭。NYから取り寄せたチェルシー・チャイ、ヒマラヤの麓で育ったダージリン・ミム、お腹に優しいフレッシュ・ミントなどはこの店のオリジナル。午後茶は3時から5時半まで、メニューはSweetと甘くないSavouryがある。

 

Yauatcha・・・中国のお茶満載。2004年の春に出来たばかりで、凄い人気。あのワガママと同系列だから納得。昼から夜まで飲茶も頂ける。午後茶は12時半から5時半まで。ここではホテルの午後茶のような三層の皿ではないけれど、それなりの午後茶コースが振舞われる。なんと言っても、その日のセレクションから繊細な作りのガトーやタルトを一つ楽しめることだろう。もっと食べたければ、追加料金を。

 

 

Chai Bazzar・・・今度はインドの午後茶。これも珍しいと思いますよ。たぶんロンドンでもここだけ。時間は11時半から5時半まで。お茶の出し方もユニークですし、もちろん本場インドのお茶はこれまでに聞いたことのないものばかり。店員さんがアナタの好みに合わせてアドバイスしてくれます。

 

 

Berkeley・・・超高級ホテルです。ここの午後茶の名前は洒落ているというか、ふざけているというか、プレタポルティって言うんです。なんだよ、ポルティって。まあ、ここも映像で紹介した方が良さそうですね。The Caramel roomのpret-a-porteaをクリックして下さい。

 

おいしくて、有名で、チェーンになっちゃったお茶処です。

Paul   ・・・コベントガーデンやマリルボーンにあります。六本木にもあるそうです。

Patisserie Valerie・・・  ショーウインドウがきれいです。

 

 

 

明日は午後茶を総括します。なんか今日は真面目だなあ。

 

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1月14日

権威と伝統の茶々茶

今しがた仕事が一段落。てなわけで、

 

 

Is Harry fit for social life?  「ハリーは社会生活に適応しているか」

 

 

昨日ITVかチャンネル4テレビでYes かNoのアンケートを取っていました。若気の至りとは言え、ちょとうましかチャンかもしれませんね。思考能力がないのであれば、信仰に依存した方が宜しいかと。あ、こんなこと言うと宗教団体から攻撃されそうなので言い訳します。信仰はそういう人を助ける力を持っているという意味です。悪しからず。アンケートの結果は明日(14日)判るそうです。

 

 

では、ちょっと慌しいので、いくつかのホテルのお茶を紹介します。昨日は2001年以外にロンドンベスト紅茶大賞を受賞した3箇所を紹介しました。

 

 

St. Martin's Lane Hotel・・・・2001年に大賞受賞。どこの午後茶も見た目が似ていますが、ここの見た目はラテン的。そうなんす。イタリア趣向の入った食べるお茶処でやんす。トスカン・ティという名前の午後茶セットの由来はイタリアの貴族の保養地トスカーナから。うまいワインともっぱらの人気ですが、それだけじゃない深みがメニューからも感じられます。別料金でティー・カクテルってのもあります。客層はむしゃむしゃ食べるビジネスマンが多いですね。ビジネスランチってヤツです。コンセプトはパワー・ティ。 

 

 

Claridge's ・・・・ここは拙が会社員をしていた頃に愛用していた午後茶処。酔わずに話せる分、セールストークに午後茶はぴったしです。前置きも要らないですしね。10年前まではソファーで、・・・などと昔話をしてもしょうがないので、今の話をすると、2000年に改装されて以来、午後茶の出し方も内装も大きく変わりました。アートフルダイニングはキュレイターBernaudaudのアレンジでやんす。メイフェアの宝石とまで言われる贅を尽くしたデコ・スタイルは、午後茶のためのThe Reading Roomをはじめとする各部屋すべてでがす。そうそう、陶器もキュレイターのブランドです。オリジナリティが高いんやね。食べ物も飲み物もちょっと変わっています。メニューと写真が見つからないけど、アイスティなんかもあったと思います。あれー?どこやっちゃったかなあ。 

 

 

The Lanesborough・・・・ここにもなかなか普通ではお目にかかれないものがあります。茶どころのコンサーヴァトリーはブライトンの海岸沿いにあるパビリオンを思い出します。採光を取るためにガラスドームになっていて、温室にいるような感じがするのは、そのアジアンテイストのせいかもしれない。出てきたティ・フーズを見て、なんだ普通じゃん、と思って食べてみたら大反省。シェフ呼んで来い!「謝る。拙が悪かった」グラハム・ホーニーゴールドさん、ああたは凄い。スコーンとペイストリーは誰にも負けない。そうでしょう、そうでしょう。確かに多国籍な味わい。え、お代わりも自由?そんなに食べられないよ。あと一言、全部旨い5種類のサンドッチは配慮を超えて、もはや味技。これも食べれば意味が判る。最高級のものをちょびっとずつ多種類食べられるってのは最高にぜーたくだ。

 

 

 

Claridge'sとLanesboroughはどちらも何でベストに選ばれていないのかが判らないくらい。たぶん順番待ちなのかな。拙は、2005年に受賞するのは、Lanesboroughと見ている。Tea Councilの評価基準には長年の安定した高級サービスの供給という項目があるからだ。でも、午後茶の人気が出たのは、ここ20年と、割と最近のような気がする。

 

 

拙も長年「あること」を続けているが、特に恩恵を被った覚えがない。街中にはひっそりと凄いモノや者も居たりするからなぁ。午後茶の次はそういう話にしよう・・かな。とりあえず、午後茶はまだ続けられるが・・・。

 

写真は左がクラリッジ、右がレインズバラ。St. Martin'sの資料が見つからないので、勘弁して下さい。

1月13日

権威と伝統の茶茶茶

アナタが午後茶に何を求めるかによって、頂く場所も自ずから決まるというものです。

 

ホテルのティ・ラウンジで頂く伝統的な午後茶では、そのホテルの気高い雰囲気、洗練された調度品、行き届いたサービス、パティシエの腕前、お茶の品質などを楽しむことが出来やす。これについて書かれたサイトはいくつもありますが、まあ、拙の話を聞いて下さい。読んでください。

 

 

ここでは、今世紀になってロンドンでベストに選ばれた午後茶処と、2005年に選ばれてもおかしくないところを紹介しやす。選出したティー・カウンセルは紅茶の普及と品質を維持する目的で作られた団体です。

 

 

ある仕事の関係で、会長のビル・ゴーマン氏と奥さまにも会いましたが、驚いたことに日本語のゴーマン(傲慢)の意味をご存知でした。「ワタクシガ、ごーまんなゴーマンです」といきなり寒い駄洒落をかまされました。日本駐在とウィスキー協会会長の経験があり、健康のためにお茶に変えたと、これまたジョーダンさんという名前にして頂こうかと思ったほどです。

 

 

ますます寒くなってきました。紅茶の話で温まりましょう。

 

 

昨日の記述をご覧頂ければ、午後茶はある程度その食べる量によって選択できることが判ります。しかし、ホテルなどの伝統的なメニューでは、完全なコースになっていて、欲しいものだけを注文することは出来ない場合が多いようです。また、予約なしで入れるところもありますが、事前予約をお薦めします。絶対に必要なところもある理由は、RITZのようにピークシーズンになると3ヶ月先前までいっぱいというところもあれば、The Lanesboroughのようにペイストリー・シェフ(パティシエ)の意向で、出来立てのティーフーズを売りにしている午後茶処では、前日までに下拵えを要するのです。

 

 

シェフが「私のために前日から用意してくれているなんて、なんかドキドキしませんか。料金もそれ相当のものですが、充分納得の行くものです。それから、今日紹介する午後茶処のドレス・コードについて、案内には平服とされていますが、男性はジャケットとネクタイをして行った方が無難です。女性も男性に合わせた服装で。お子様は、まず入店拒否されるでしょうが、こういうところで「差別」などと野暮は言わないことです。そういうことで騒ぐと、午後茶文化そのものが駄目になります。

 

 

伝統なんだから、どこでも同じだろうという思い込みがあれば、旅行中に少なくとも2軒は体験して頂きたい。伝統の意味と、各店がその午後茶にどんな特徴をつけているかが判ると思います。拙に言わせれば、午後茶の伝統とは高い品質を維持する手段と様式であり、長年維持するだけに値して来たものということです。午後茶とは、スタンダード作りの上手な英国文化の縮図でもあるのです。たかだか150年の歴史と侮ってはなりませぬ。

 

 

また、特徴については伝統的なところに脚を運んだ瞬間に判ることもありますが、午後茶を終えてから「ああ、なるほど」と思わせて、納得するところばかりです。わざわざ行って、損をしたと思ったところはひとつもありません。料金は25ポンドから35ポンド前後です。これを頂くと夕食は要りませんので、そんなに高くつかないでしょ。

 

 

というわけで、また前置きが長くなりました。今日は権威にこだわりましょう。でも、拙の好きなところだけです。

 

 

RITZ・・・・2004年にロンドンのベスト午後茶に選ばれました。まず、スタッフの接客態度はスムーズで嫌味がなく、内装の豪壮さには目を奪われます。イオニア式の柱が支える光天井は今世紀の技術とルネッサンスとの融合とか。BGMのピアノやハープの音色がザワメキを優雅に包む。ただ、気になるのは時間制であること。1時間半はちょっと短いかな。

 

 

Four Seasons・・・・2003年にロンドンベストに選出。こちらはソファが中心にセッティングでとてもゆったり感がある。他のお客さんのざわめきが気にならないように配慮されている。サービスもさりげなく、長時間居ることが当然のようなスペース。個人的にはここが最高だと思うのは、ペイストリーの旨さもさることながら、思いついたように提供されるサービスが意外で、小さな感激を与えてくれるところ。

 

 

The Dorchester・・・・2002年と2000年にロンドンベスト茶に選出。こちらの内装はゆったりとして落ち着きがある点では定評が高い。茶器や特別にブレンドされた紅茶の品質にも一目置くべきものがある。ペイストリーも行く度に目新しく、シェフの心意気が感じられる。過去には午後茶のための最高ペイスリー賞を受賞している。

 

 

他にもカウンティ・ホール(マリオット・ホテルによるオペレーション)では、目の前にあるロンドン・アイの乗車券と込みで午後茶を楽しめるプランがあります。ライブラリールームは静かで気分最高。難を挙げれば、紅茶はティバッグ。 

 

明日も出来れば、権威と伝統の続きを・・・。

1月12日

午後茶のちゃ茶ちゃ

今日から1週間ロンドンを中心にした午後茶のことしか書かない。かもしれない。だから午後茶週間。特にロンドンでそういう週間が設けられたわけではござんせん。

 

 

ところで、「茶」を広東語で「テェー」と語尾上がりで発音して、北京語では「チャァ」とこちらも語尾上がりで発音すると聞いたことがあるが、本当だろうか?そして、「テェ」がティの語源になっているとか。

 

 

今日は午後茶のスタイルをいくつか紹介します。成り立ちなどは、他のウェブで見て下さい。ここでは一般的なことは載せません。以下、事実に基づいた拙の意見です。

 

 

ティ・ダンス・・・1819年ごろから第二次大戦ごろまで続いた庶民の習慣。労働者は就業時間終了後の5時に集まって、ティとスナックを摂り、フロアで踊ったもんです。いや、見てたわけじゃないけどね。この習慣がベッドフォード公爵夫人による午後茶の発案以上にお茶菓子付きの茶のみを普及させたんです。そんでもって、貴族生活ってのは中産階級の憧憬でしたから、次第に下々の人々が作法を真似ていくことになったんでやんす。貴族でなければ、あーたも拙もシモジモの者よ。そのうち貴族の話もしたいものじゃが。。

 

 

ファーマーズ・ティ・・・これはほとんど昼食。前述のプラウマンズ・ランチなどをパブでお茶と一緒に頼んで頂くこともあります。パン、サラダ、コンサーブ、ピクルスという基本アイテムのほかにパテ、ハム、チーズ、ポークパイなどのチョイスを与えられて、ひとつの皿に盛られています。「昼食に何がいい?」と聞かれたら、「プラウマン」と応えると粋だし、冷蔵庫のもの何でも食べていいよ、という感覚になりやす。そのニュアンスを逆手に取って、拙は「お宅の冷蔵庫を荒らすよ」という意味に使います。

 

 

フル・(アフタヌーン・)ティ・・・これが皆様の本命。4時ごろ出されるアフタヌーン・ティは食べる量によってコースを決めるわけです。サンドイッチ、スコーン、スイーツ、そしてデザートの4コースを伴うのが完全なアフタヌーンティ。 ロイヤル・ティというのもありますが、最近ではシャンパーヌ・ティと呼ばれることもあり、フル・ティにシャンパンかシェリー酒をつける。ホテルなどのコースでは通常一杯のみ。どうせ飲むなら、茶はいいから、飲むだけにしたいものだがねえ。あ、ここは茶の話だっけ?

 

 

ライト・ティ・・・スコーンとスイーツのみ。クロテッド・クリームが付いてくる限り、見た目ほど軽くありません。結構腹が膨れます。英国家庭でこれを出されてもセンベイか沢庵ないのかなあと思います。義母や拙の好みを知ったホテルではチーズを出してくれます。でも、ライト・ティというと普通は甘いものですからね。判りましたね。我がまま言うと京都弁でぶぶ茶出されますよ。

 

 

クリーム・ティ・・・紅茶を飲むよりも、ジャムとクロテッド・クリームたっぷりのスコーンをお目当てにする人向き。田舎のティ・ルームに行くと看板にCream Teaと書かれておます。初めて看板を見たときウインナーコーヒーみたいなもんか、と想像しました。ウインナコーヒーってもはや死語?

 

 

ハイ・ティ・・・アルプスの少女ではない。夕方の6時以降になると、空いていた小腹も空腹に変わります。フル・ティにさらに付いてくるものは、食事と酒。軽食だけど、ミートパイ、チキンサラダなどが出てくるので、一日の食事はこれで済ませてしまうことも。ハイ・ティを日本語に訳すなら、「夕飯」も可能でしょう。ここには英国の夕飯のコンセプトが隠されています。英国の食事が貧しく思われる人はこのハイ・ティの意味を理解することです。和人から見れば、ティでもなけりゃ、ディナーでもない中途半端な食事です。

 

 

シュート・ティ・・・雉射ちの合間に摂るティ。家庭を守る女性が狩をする夫や男性を労ったことから生じた習慣。狩そのものが生活の糧だったわけですから、生産労働者はもてなされたわけです。今では猟が解禁になっているときだけもてなされるだけに、ちょと貴族的かな。ハイキングの際に行く「雉射ち」や「お花摘み」にはティシュが必要ですが・・・。意味判んないヒトはコメント下さい。

 

 

クリケット・ティ・・・2日間続くゲームの合間のおやつの時間は20分。クラブハウスで敵チームと混じって、真っ白いユニフォームの大男の群れが、きちんと席に着いてフル・ティを頂く様子は壮観。英国の夏の風物。拙も大きさと腕力には自信はあるものの、クリケットバットの振り方が判らん。

 

なんでも「ティ」とつけりゃいいみたいだよなあ。牧歌茶(パストラル・ティ)とすれば、牧場を眺めながら頂くティで、牧歌コーヒーとすれば、類似品にご注意。お粗末。どちらも存在しません、念のため。

 

次回からロンドンの主な茶どころ、一日一軒紹介すると1週間で終わんないぞ。やはりもう少しまとめるかなあ??? 伝統的午後茶処、ニューウェーブ、家庭の午後茶と午後茶教室だと3回で終わりか。どうしよう?あと3回でもいい?午後茶情報たくさんあります。

写真は午後茶関係だけど、特に意味なし。

1月4日

アフタヌーン・ティ その一

「午後飲むお茶」に他ならないんですが、何が特別であるかは、経験した人によってその印象が違います。

 

クロッテド・クリームが好きという人もいれば、あのゴージャスな雰囲気が良いとか、紅茶の種類が多いとか、伝統と格式が好きとか、食べると胸焼けがするとか、印象は様々です。

 

拙が会社員で営業と販売を担当していた頃、お客さんとクラリッジ・ホテルの午後茶をよく頂きました。クラリッジは「ロンドンの散歩」のカテゴリ、漱石の項「倫敦塔まで」で既出ですが、古いだけに格式も高く、お値段もサービスにもそれ相応のものがあります。良いサービスを受けたかったら、こういうところにネクタイ付けて行くしかないですね。これも英国。されど英国。

 

あの静かな雰囲気は商談に最適です。特に英人と商談をする時は、ボディランゲージで自分をより大きく見せるのに、ソファに深く座って、脚を組むんです。拙が一番と思う午後茶の場所はソファの置かれている午後茶処です。日本人はこういうところに来ると萎縮してしまう人も多いようで、ボディランゲージの仕方が異なるのが残念です。

 

午後茶は英国の魅力のひとつとして、日本では凄い人気ですから、ちょっと英国の事情を知ってしまった拙としても少し語るべきかな、と思いました。そして、何を書こうかなとノートに箇条書きにしてみたら、3頁くらいになってしまいました。巷には午後茶のソースが溢れているんですね。

 

でも、今さら起源でもないでしょうから、総論よりも各論で行きましょうか。様々なウェブでお薦め処を紹介していますが、何故お薦めであるのかが記載されているところはひとつもありません。次回からは特定のお茶処を指定して、何が良いかをお伝えします。でも、他に知りたいことがあれば、コメントを下さい。

 

拙の場合、午後茶と意識して紅茶を啜ってから15年ほど経ちましたが、甘いものは苦手なので、基本的にお茶を飲むだけだったんです。しかもダージリンばっかり。でも、午後茶の楽しみのひとつは、スコーン、サンドイッチ、ペイストリーなどが盛られた三層の皿なんですね。どこで食べても同じようなものだと思っておられる方も多いようですが、同じように見えるからこそ経験してみないことには、その真価が判らないのが、午後茶です。

 

その違いが尊ばれる要素は、ケーキスタンド以外にもたくさんあります。内装の豪華さや雰囲気、お茶の質、ティーフーズのおいしさと見た目、陶器、サービスなどなどです。それぞれの午後茶処がそれぞれのキャラクターを持っていて、どこが一番良いとは言えないと思います。しかし、Tea Councilという団体は、お忍びで午後茶処を審査して、毎年春ごろに一番良いお茶処を発表するのです。2004年のロンドンで最も良い午後茶処はホテル・リッツでした。

 

その審査基準のリストをTea Councilの会長と直接話して、入手しました。一部をお披露目しましょう。14の大項目の中に、細かいカテゴリーがたくさんあります。「清潔さと清掃状況」については7カテゴリーがあり、ナイフや食器類に1点の曇でもあれば、チェックされます。つまり、アナタが午後茶の場に臨んで、「なんか汚いなあ」とか「嫌だなあ」と思った時にはそれを指摘して、改善を要求出来るわけです。でも、ネクタイをしないでも入れるところで、そんなことをしても上質のサーヴィスは期待出来ないと思います。そして、審査基準にの中には「隠れ項目」として顧客の質も含まれている? というのは考えすぎでしょうか?

 

審査基準で、特に興味を引いたのは、サーヴィスの際のやり取りです。紅茶やティーフードについて質問されたら、どの程度答えられるか、というチェックもされます。そして、居心地の良さ、接客態度です。また、これはやりすぎではないか、という点もいくつかあります。ルースティ(茶葉を直接急須に淹れるやり方)の場合に、ストレイナー(茶漉し)をお茶の種類ごとに交換するとか、継ぎ足しのお湯やレモンを勧めるとか、Everything's  OK?と、いちいち尋ねていたら、お客さんの方がだんだん面倒に感じてくるんではないかな、という気がします。角砂糖を取るためのトングの有無も項目に入っています。

 

 

拙が個人的に思うのは、日本人の年配のご婦人たちがティー・ラウンジに集まっておられる時の振る舞いです。日本人女性の発声の仕方と集団化したときの様相は一種独特です。発声が鼻に掛かっているので、BGMの掛かっているティールームでもよく響きます。これは拙だけが感じることかも知れないと思って諦めていたのですが、仲良くなったあるバトラーから聞いたところでは、そういうご婦人が集まる時、盛り上がりそうになるのを見計らって近づき、襟の折代に親指を滑らせ、「お注ぎします」と言って、目を合わせてにっこりと微笑むと、暫くの間は静寂が維持できるのだそうです。

 

茶道ほどの厳しさはないものの、古くからの常識の積み重ねになっているので、あの静寂の作法は判り難いかもしれませんね。

 

 

拙の友人の声) この人たちは英国に長く居ても、午後茶処に行ったことがありません。

茶の習慣の根強さはどこから来るんでしょう?

昔の貴夫人の習慣だろ。

どこで飲んでも同じお茶。

どこで食べても同じスコーン。

あんなに高いお金を払って何があり難いんだろう。

あんなの好きなのは単なるイギリス被れだ。

行くのは熟年だ。

お茶はマグカップに限る。

茶に金をかけるならパブに行く。

キウリのサンドッチなんて青臭くて、有難がって食えるか。

 

 

次回はホテルの午後茶をもう少し詳しく。

明日はこの国のお受験事情。

写真はハイドパーク・コーナーにあるThe Lanesboroughの午後茶。転載不可です。念のため。